The Four Tempelaments
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タスクの依存関係と順序設定のパターンを知る:Omniplanでスケジュール作成 (2)

前回のエントリーは、プロジェクトを完遂する上でやらなくてはいけないことを書き出す=WBSを作る、ということについて海外旅行を題材にし、それをOmniplanでどう作るかについて書きました。

今回は、書き出したWBS(やること)を元に、それをどう段取るか、の前段について触れたいと思います(Omniplanでどうやるかは次回)。

 

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前提:このエントリーは、以下の方を想定して書いています。

  • 普段Webのリニューアル案件等に携わっているいわゆる「Webディレクター」。
  • 仕事がらスケジュール作成やその後の管理をすることが多いが、自分のやり方でよいのかどうか不安に感じている。
  • 通常の進捗管理にエクセルを使用しているものの、そろそろ限界を感じている(Excelとの戦いに倦んでいる)。

なお、前回記事の完成例は適宜以下からダウンロードください。
完成例


 

段取りの前に。タスクの依存関係と順序設定の種類を理解する

PMBOKガイド(A Guide to the Project Management Body of Knowledge)では、タスクの依存関係として以下の3つ、順序設定として以下の4つがあると定義しています。まずはこれらを覚えましょう。

依存関係

強制依存関係

作業の内容的に自然と順序が決まってくる依存関係で「○○が終わらないと△△ができない」というように、変更ができないもののことを指します。「ハードロジック」と呼ばれることもあります。

たとえば前回作成した完成例で言うと、例えば「1.4.1 パスポート準備」のタスクグループの

  1. 「1.4.1.3 申請用の写真を撮る」と「1.4.1.5 申請する」
  2. 「1.4.1.4 申請用の各種書類を揃える」と「1.4.1.5 申請する」
  3. 「1.4.1.5 申請する」と「1.4.1.6 申請受理・発行処理」
  4. 「1.4.1.6 申請受理・発行処理」と「1.4.1.7 パスポートが届く」

がそれにあたります。

  1. 申請用の写真がないと申請ができない
  2. 申請用の各種書類を揃えないと申請ができない
  3. 申請しないとそもそも受理のしようがないし、発行もできない
  4. 申請の受理や処理がないかぎり、いつまで経ってもパスポートが届かない

という考えかたです。

任意依存関係

過去の経験や情報に照らし合わせるなどして任意に順序を設定する依存関係です。

「○○と××両方あるけど、こちらを先にしたほうが動きやすい」というような依存関係で「ソフトロジック」と呼ばれることもあります。

海外旅行のWBSでいうと

  1. 「1.4.1.3 申請用の写真を撮る」と「1.4.1.4 申請用の各種書類を揃える」
  2. 「1.4.1 パスポート申請」と「1.4.2. 各種手配・支払」と「1.4.3 旅行用品の購入と準備」

などがそれにあたります。

  1. 写真を取りに行くのを先にしても、申請用の住民票などを先にしてもどちらでもよい
  2. パスポート申請と宿泊場所の手配、旅行用品の準備のどれを先にしてもよい(リスクの観点からはパスポートが確実に取れる、とわかってから他をやるかもしれませんが、それはそれとして)

という考え方です。

外部依存関係

プロジェクトの外(おもに第三者)からの影響を受ける依存関係です。完成例でいうと

  1. 会社に休みを申請したあとの「1.2.1.3.2 申請処理・許可が下りる」
  2. パスポート申請後の「1.4.1.6 申請受理・発行処理」

などですね。

  1. 休暇申請を受け付けて許可を出すのは上司であったり、会社であったりする。
  2. 申請後に発行処理をするのは役所の担当者。

いずれも自分の手を離れたあとに自分都合でコントロールできないものがこれにあたります。何かあったときのリカバリができるかできないか、という観点で、個人的には外部依存をしっかりと認識できるかどうかがポイントだと思っています。

これらを把握したあとにタスクの順序設定をしていきます。

順序設定のパターン

実際に完成例を元に順序設定をする前に、順序設定の4つのパターンについて覚えましょう。

順序設定をガントチャートで示すとこのような感じ

終了 – 開始:FS(Finish – Start)

先行するタスクが終了したら後続のタスクを開始できる、という関係性です。前のタスクが終わってない限りは始められない、と言い換えることもできます。いわゆるウォーターフォールと呼ばれるものはこの形でタスクを関連づけたもので、基本的に下流から上流に後戻りすることはない、という前提に立っています。

次回で触れますが、スケジューリングの初期段階では基本的にこの順序設定で組み立てていくのが良いと思います。

また、先ほどの依存関係の整理で「強制依存関係」「外部依存関係」となるものについては、この順序設定をしておくべきと考えます。

開始 – 開始:SS(Start – Start)

先行するタスクが開始したら後続のタスクを開始できる、という関係性です。

終了 – 終了:FF(Finish – Finish)

先行するタスクが終了すると後続タスクを終了できる、もしくは先行するタスクの終了までに後続タスクを終了しなければならないという関係性です。

開始 – 終了:SF(Start – Finish)

先行するタスクの開始によって後続するタスクを終了できるという関係性ですが、これを適用する例はほとんどないのではないでしょうか(少なくともぼくは今まで使ったことがありません)。

よって適切な例が示せないのが残念です。google先生にお伺いを立てると、いくつかの記事で例が記載されているケースがあります。が、実際はFSの関係性で整理したほうがわかりやすいのでは? と感じていたりします。

ということで今回はさらっと考え方のみでしたが、次回はこの依存関係と順序設定を意識した上で、Omniplanでどうやるかについて触れたいと思います。

 

Omniplanでスケジュール作成 記事一覧

  1. プロジェクト管理ツールのススメ
  2. タスクを書き出す・構造化する
  3. タスクの依存関係と順序設定のパターンを知る
  4. タスクの順序設定をする
  5. 関係者を洗い出してタスクに割りあてる(リソース制約の考慮として別途記事化予定)
  6. それぞれにかかる時間を反映する
  7. スケジュールに無理・矛盾がないかを検証して基準とする
  8. 進捗を管理しながら調整する

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2 Comments

  1. usagizmo
    20/08/2014

    記事がとてもわかりやすいです。
    参考にさせていただきます。

    OmniPlan アプリのリンクが切れてしまっています。

    • osaki
      20/08/2014

      感想ありがとうございました。
      また、リンク切れのご指摘を受けて正しく設定し直しました。ありがとうございました。

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